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「安心ひきこもりライフ」

「安心ひきこもりライフ」 勝山 実 (太田出版社)を読みました。

ひきこもり歴20年の著者によると、
ずっとひきこもっているとついには涅槃の境地、
寝釈迦になってしまうのだとか。

著者は高校3年のときに中退してひきこもり、
家族に
「怠け者」
「この出来損ない」

などという罵詈雑言を浴びせられつつ生きてきて、
ついに当事者研究を完成させました。

で、提唱しているのが、ひきこもりピラミッド。

底辺の社会的ひきこもり・ニートから始まって、
その上に廃人・病人がありますが、
さらにピラミッドをのぼると名人になり、
最終的には涅槃の境地に至るわけです。

著者によれば、
ニートと廃人・病人の間でもがいているから苦しいのだそうです。

つまり、一念発起して社会復帰を試みては失敗し、
リストカットしたりして劣等感に苛まれた人生を送るわけですね。

その段階を乗り越え、心の居場所、自分の立ち位置を定め、
福祉に支えられた安心ひきこもりライフを送るのが、
ひきこもり名人や涅槃だそうです。

というわけで、色々と著者の経験と考察が述べられており、
今まで自分がひきこもりを表面的にしか理解していなかったということが、
よくわかりました。

※ この「表面的にしかひきこもりを理解していない」というのは、
  よく患者さんに「ウチの息子がひきこもりで……」と相談されながらも、
  適切なアドバイスができなかったという反省に基づいています。

※ 私自身、かなりのひきこもり体質ですが、
  あまり困っていないが故に、自己分析をサボッています。
  すみません。


本書では面白いことが色々と書かれています。
たとえば、

・レンタルお姉さんよりもレンタル甥っ子だ。

※ このレンタルお姉さんというのはひきこもりの話し相手になる活動で、
  3ヶ月30万円かかるものだそうです。
  ちょっと前にニュースで話題になっていました。 


 著者は、お姉さんは要らんから甥っ子をレンタルせよ、と言っています。
 本で紹介されているのは著者の甥っ子で幼稚園児。
 勝手に部屋に入ってきたり、勝手に引き出しを開けたり。
 おまけに「おじさんは変な人~♪」と歌います。
 ゲームのマナーがなっていないと説教を食らわすと、
 「うるせえ、坊さんジジイ!」とカードをぐちゃぐちゃにしてしまいました。

 だからひきこもりにレンタル甥っ子は有効なのだ、ということです。
 どのように有効かは明記されていませんでした。

 もっともこの甥っ子も叔父さんの血をひいているせいか、
 小学生になると不登校寸前だとか。


というわけで、皆さんも是非読んでみてください。

アマゾンの書評では賛否両論。
・自分との対峙。ひきこもりの強みを生かせ。
・働かざるもの食うべからず! 読んでいて虫酸が走った。


皆さん極端ですな。

私の意見では、
国が面倒をみれるところまで面倒みてあげたらいいんじゃないかな。
それ以上は無理ですね。
お金がなくなったら、どっちみち面倒みれなくなるわけだし。

「安心ひきこもりライフ」_f0225166_8565939.jpg

安心ひきこもりライフ

by ShinNakajima | 2011-10-29 08:52 | 読書